漁師生活、漁村生活についての不安や疑問にQ&A形式で答えるコーナーです。ぜひ、参考にしてください。
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車がなくても生活できますか?
自家用車は、あったほうが便利です。
尾鷲市街地へ向かうバスは1日4本で、本数や時間が限られます。必須ではありませんが、車が無いと不便です。第1期生2名のうち、ひとりは車を持っていませんでしたが、もうひとりが車を持っていたので、買い物に行くときは同乗するなど、協力して生活していました。
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地区にお店はありますか?
地区の漁協では生活するための最低限度の物品が販売されています。
漁協では、長靴やゴム手袋といった漁業資材のほかに、米や調味料、飲料、洗剤、ゴミ袋といった食料品、生活用品が販売されています(平日昼間の営業)。また、尾鷲市街地(車で約20分)まで行けば、必要なものはほとんど手に入ります。
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最寄の病院までどのくらいかかりますか?
隣の九鬼町に診療所があり、車で約10分です。
尾鷲市街地には総合病院の他、各科個人病院もあります。
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研修所について教えてください。
地区の民家1軒を研修所として使用しています。
研修所は木造平屋建てで、台所と2部屋、風呂、トイレ(くみ取り式簡易トイレ)があります。テレビ、こたつ、布団、収納ケース、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、調理器具、食器、洗濯機、目覚まし時計、ファンヒーター、扇風機、置き薬など、生活に必要なものは一通り用意されています。
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研修費用はいくらですか?
漁師塾受講料および、研修所費用は無料です。
食費、生活消耗品(トイレットペーパー、洗剤他)など、生活に必要なものは各自で購入していただく必要があります。なお、これまでの研修生に聞き取りを行うと、「地区の方々から、魚や野菜をもらえることが多かったため、あまり食費もかからなかった」との意見が聞かれました。
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これまでに都会から早田地区へ来た若手漁師が早田での生活を実際に体験し、感じたことや戸惑ったことについて教えてください。
早田地区の魅力のひとつに、都会では消えつつある「地域に密着した生活」ができることが挙げられます。しかし、都会から来た若手漁師の多くが、最初はこの地域密着型の生活に戸惑うようです。早田地区では、都会からの若者を複数人受け入れてきたこれまでの実績や経験を活かし、なるべくスムーズに地域へ馴染めるようなサポートを心がけています。
以下にこれまでの研修生が感じたことや戸惑ったことを列記します。
- 良くも悪くも人の目があり、噂もすぐに地区内に回ってしまう。
- 留守中に地区の人が勝手に家に入り、片付や洗い物をしてくれたり、洗濯物を取り込んでくれたりする等、最初は戸惑うことも多かった。
- 最近は地区の人たちも、適切な距離をとってくれるようになってきた。
- 地域に溶け込めるか否かは自分次第。地域密着型の生活が嫌な場合、田舎生活に対応するのは難しい。
- 地区の方々からご飯の差し入れを頂けることも多い。
- おかず(魚)は不自由しない。新鮮な魚のうまさにびっくりした。
- 害虫が多い
- 野生動物が多いので、薄暗い時間はシカにぶつからないように注意して運転しないといけない
- トイレはボットン便所だが、慣れたら不自由しない
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漁師・漁業について勉強しておいたほうがいいことはありますか?
自分で調べ物をして塾に備えることは、とてもすばらしい心がけです。事前学習は必須ではありませんが、漁師・漁業について調べ、予備知識や疑問を持って漁師塾にのぞむことで、より充実した漁師塾を体験できるでしょう。
早田漁師塾では、生の漁師の生活そのままを体験していただきます。インターネットで調べたり、本を読んだり、話を聞いたりすることもよいでしょう。そのうえで、実際に船に乗って漁に出れば、ただ漫然と漁に出るよりも多くのことを講師の先生から吸収することができるでしょう。
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講義で気をつけることはありますか?
海上作業は非常に危険です。必ず講師の指示に従ってください。
漁業という仕事は、ともすれば危険と隣り合わせの仕事です。状況によっては、一瞬の判断の遅れが命取りになることもあります。講師の漁師さんにとっては、通常の仕事プラス、塾生の安全面、学習面の配慮をしながらの漁になりますので、くれぐれも自分勝手な行動は慎んでください。ただし、積極的な学びの姿勢は大歓迎です。
ロープワーク、網修繕は、何度も何度も繰り返して身体で覚えることが 必要です。特にロープワークは、波のある船上で素早くおこなわなければならない場合がほとんどです。そのために、研修所での反復練習が大切です。
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安全面で気を付けることはありますか?
ライフジャケットは必ずつけましょう。また、ロープは場合によってとても危険な凶器になることを覚えておきましょう。
万が一海に落ちたとき、服を着たまま泳ぐことは非常に困難です。泳ぎに自信がある人でもなかなかできません。特に刺し網漁のときは、夜間の作業がありますので、必ずライフジャケットを着用しましょう。
長靴は、ワンサイズ大きいものをはきましょう。海に落ちたときにすぐ脱ぐことができるためです。
船上で輪の形にまとめられたロープの中に足を入れたり、乗せたりしてはいけません。ロープが海中へ入っていくときに、一緒に巻き込まれてしまいます。万が一巻き込まれた場合のために、「メス」と呼ばれる刃物を常に携帯し、いざというときはそれでロープを切って浮上してください。
寒い時期になると、船上が凍ってすべることがあります。気温の低い早朝は特に気をつけましょう。
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持って来たほうがいいものはありますか?
過去の塾生から聞き取った結果、持ってきた方が良いものは以下のとおりでした。
薄手で動きやすくて暖かい服装、大量のタオル、防寒具(ヤッケなど)、手袋、帽子手袋については、軍手、ゴム手袋、グリップ手袋など、濡れた状態で自分が使いやすい(細かい作業がしやすい、魚を持ちやすい)ものを選んだほうが良いとの意見がありました。
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方言について教えてください。
早田地区(三重県南部地方)には、多くの方言があります。
三重県南部地方は、リアス式海岸に沿って存在する浦ごとに独特の方言があり、イントネーション、語彙、文法が多様です。さらに、魚の名前や、道具など、漁師ならではの専門用語もあり、初めて聞くと意味がわからずに悩むことも多いでしょう。特に船上での仕事中は、鋭い声・きつい口調で指示がとび、よけいに混乱する場合もあると思われます。しかし、わからないことはわからないままにせず、その都度聞き直して理解してください。
また、みなさんと同じように、他所から早田にやってきて、方言がわからないところからがんばってきた先輩たちが何人もいます。先輩たちはみなさんの気持ちが理解できますので、その人たちに教えてもらうのが何よりの近道かもしれません。